
お客様の声を直接伺っている全国の店長が開発した、キッズ用インナー<エブリデイコットンTシャツ>が発売されます。現場の声から商品を作るという初の試みは、どのような経緯で生まれたのか。どこにこだわったのか、チーフMDと各店長を突撃取材しました。

髙井賢治
グローバルワーク
KIDSカテゴリー チーフMD
2018年9月よりグローバルワーク事業部全体の数値設計や進行管理業務を担い、同10月よりキッズカテゴリーのチーフMDと統括業務を兼任。趣味はアウトドアと旅行。
―まず、今回発売するキッズインナーの商品開発に至った経緯を教えてください。
髙井:全国の店長が一堂に会する大規模なミーティングで、グローバルワーク全体でよりよい商品を生み出して行くにあたりできることについての議題がありました。あがってきたアイデアのなかから選ばれたのが、「お客様からの要望をもっと取り入れて、商品開発をする」というものでした。そのために、お客様にいちばん近い立場にいる全国の店長たちとチームを組んで、現場の声を盛り込んだ商品開発をしていくことになりました。

初めて商品開発に関わるということで、会議も白熱
―今までも現場の声を参考にした商品作りはあったんですか?
髙井:意見はあったのですが、実現するのは初めてです。しかも商品開発チームとして、店長が軸となって動いたのも初めての試みになります。
―なぜ、こういった施策をしようと思ったのでしょうか?
髙井:“本部が作り、現場が売る”という仕組みは古い考えですし、もはやそんな時代じゃないですからね。新しい取り組みをして、より成長できればと思いました。
―実際、現場から届いた声はどのようなものだったのでしょうか?
髙井:全国の店長からお客様の声を集めてもらったリクエストは、ものすごい数でした。それを精査してみると、実現するにはかなり時間がかかるものが多かったんです。既存の商品に対しての意見や要望は日頃から届いているのですが、こっちはメリットだと感じていた特徴が、お客様からすると不要なものだっていうこともあったり。例えば、あまり反応が良くなかった商品を廃盤にしたところ、毎シーズン好評だったのになんでやめたんですか?という声をいただいたり。お店やお客様と本部ではギャップがあるんだなと改めて感じました。

お客様から「肌着はもうないの?」と聞かれたことも。

洗濯してもへたらないことへのリクエストが高かった。
―<エブリデイコットンTシャツ>のプロジェクトが発足したきっかけとは?
髙井:キッズのインナーを作ってほしいという問い合わせが非常に多かったことから、トライアルとして商品開発しようということになりました。ただ、過去にもインナーを作ったことがあるのですが、あまりうまくいかなくて廃盤にしたことがありまして。それでもニーズはあるから挑戦したいという店長の声がきっかけで決定しました。
―一度失敗しているものにトライすることになったんですね。
髙井:そうですね、一度は失敗したアイテムではありますが、やり方次第で改善すると思いました。以前作ったときは、グローバルワークらしさを追求できなかった結果が招いた失敗だと思います。その失敗をふまえて、改めてグローバルワーク「らしい」インナーとは何かを追求しました。

S(90-100cm)からXXL(130-140cm)までと
幅広いサイズ展開
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T-shirt [No.841915] ¥750+tax

店頭ではパッキングされた商品をハンギング。

商品へのこだわりは裏面に記載。
―できあがった商品について教えてください。
髙井:この商品のポイントは4点あります。商品パッケージにも記載しているのですが、まずは、「優しい」というところ。コットン100%で、肌当たりがふわふわなものにしてあります。次に「嬉しい」。これは背中につけたワンポイントのプリントです。これにより前とうしろがわかりやすくなり、子供が1人で自発的に着ることができるという“育成”面での嬉しい。3つ目の「頼もしい」についてが、商品作りにおいていちばん優先順位が高かった点になります。子供は汗っかきだし、インナーは毎日着て洗濯するものなので、何度洗ってもヘタらないものがいいとリクエストがありました。その結果、耐久試験で何回洗濯をしてもヨレにくいという検査結果が出た、「タフコットン加工」というアメリカの繊維業社が開発した表面加工を取り入れました。


柔らかなコットン100%でノーストレス。


背中のネック部分にイラスト付きで前後がわかりやすい。


洗濯しても磨耗しにくいタフコットン加工を採用。


後ろ身頃を長くしているので、背中が見えにくい。
最後に「安心」ですが、長めの着丈でウエストインできるということ、動いても背中が出ないようにうしろ身頃を長くしたところがポイントです。また、ボディの色によってステッチの色を変えたりとグローバルワークならではのデザイン性も出せたかと。

カラーステッチでさりげないおしゃれ感を。
―ほかにはないグローバルワークらしいインナーが誕生したわけですね!ちなみに、背中のワンポイントを犬のキャラクターにした経緯はなんでしょう?
髙井:イラストに関しては店長たちからの投票制で、12柄ほどのアイデアから選ばれました。また、子供が1人で着られるうえに、デザイン的な要素として、あえて内側ではなく外側にイラストを入れました。

―インナーだけでなく1枚着としても着られるのは嬉しいポイントですね!
髙井:基本はインナーのパターンなのですが、Tシャツ単体として考えてもピタピタすぎず、ユルすぎず。だけど肌着寄りといった絶妙なサイジングを実現しました。子供のいる店長の意見でパターンについてはかなり白熱しましたね。

各店長が妥協せずに意見を出し合った。
―カラー展開は5色ということですがどのように選ばれたのでしょう。
髙井:ものすごいカラーサンプルから投票制で決めました。ベーシック+おしゃれ色というコンセプトだったので、ベーシック3色(白・黒・グレー)はすぐに決まりました。ただし差しカラー2色に限っては意見がわかれ、今季のトレンドカラーであるくすみ系がいいという話になりカーキとパープルを採用することに。

最終ジャッジは投票制に。

ベーシック3色と、秋色2色の展開。
―<エブリデイコットンTシャツ>というネーミングはどなたが考えたんですか?
髙井:店長たちからアイデアを募って、こちらも投票制にしました。全部よかったのですが、「毎日着られる=丈夫」という商品の強みを表現したかったので、<エブリデイコットンTシャツ>がいちばん適しているということになりました。
―キッズの商品ですと価格がより重要になるかと思います。
髙井:例えば他社のキッズインナーは600円前後が多く、店長たちからは600円代にしてほしいという意見が多かったんです。ただ、少し値段は上がっても、インナーでは初めて「タフコットン加工」を採用するなどの興味を持っていただけるエッセンスを盛り込みたく…。定価は750円に設定しました。ぜひ店頭でサンプルを触って、違いを感じていただけたらと思います。
―店舗販売がはじまり結果はこれからではありますが、今回このような試みに挑戦してみて、髙井さん自身いかがでしたか?
髙井:ブランドが成長するには新しいことにチャレンジする気持ちが大切だと思っています。今回、現場スタッフの声を商品化したことで参加した店長もモチベーションが上がったと思いますし、売り場にも熱意は伝わるはず。今後もこういった企画を続けていきたいと思っています。
STAFF
Photo_ ERINA TAKAHASHI
Iilustration_ TAKESHI TERAYAMA
Interview&text_ KOZUE TAKENAKA
Edit_ Rhino Inc.
2019.9.6 up
このプロジェクに関わった各店長からの声
イオンモールつくば店
店長 杉山さん
「お客様から『子供は暑がりだからいつも肌着は半袖を選んでいるんだけど、冬になると店頭には長袖の商品しかなくて毎シーズン困っている』とご意見をいただき、大人用と同じ考え方ではダメだと痛感しました」
イオンモールかほく店
店長 大野さん
「肌着とはいえ、グローバルワークならではのおしゃれでかわいいデザイン的なエッセンスを加えることは、個人的にかなりこだわったポイントです。想いをカタチにできて、それをお客様に伝えられるのが楽しみです」
サンエー浦添西海岸
パルコシティ店
店長 上原さん
「タフコットンという摩耗に強い丈夫な素材を採用したことで、正直肌あたりがかなり気になっていました。ですが、完成したサンプルを実際に触るとコットンらしい柔らかさはキープしつつ、しっとりした質感で安心しましたね」
イオンモール下田店
店長 木村さん
「開発するうえで実はかなり大変だったのが、携わった全国の店長たちが打ち合わせや会議をするスケジュールや場所の確保です。ただ直に顔を見合いながら議論をする時間は、本当に貴重だし大切だと感じましたね」
イオンタウン郡山店
店長 佐々木さん
「リーダーの役割だったので、チーム全員の意見を出し切ることに注力しました。議論がまとまらないときは“お客様に喜んでいただく”という初心にかえることを心がけたことで、イメージ以上のものが完成したと感じています」
アリオ西新井店
店長 雑賀さん
「私はいちばん身近なお客様である、自分の子供に喜んでもらえるかを前提として考えました。実際にサンプルを見たときは率直に心から嬉しかったですね。半年以上チームで時間をかけて考えたことが形になった瞬間だったので」
イオンモール千葉
ニュータウン店
店長 杉江さん
「当初は単に『要望が多かった100%コットンの肌着を作る!』という使命で参加したんです。が、これまで“当たり前”だった新作の入荷が、MDや生産チームの大変さを体験したことで一点一点特別に思えるようになりました」
エスパル福島店
店長 鍛冶さん
「苦労したのはデザインや素材、カラーの選定。膨大な選択肢の中からベストなものを模索するのは難しかったです。なるべくキッズの売り場に立って、お客様とのコミュニケーションを増やしたのが思い出深いです」